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夕茜が元気無い。
アルバムを閉じようとしたら彼女の両手と私の手が重なる。
顔が火照ってる。
「日凪元気無い......。青衣と私が一緒に写ってる写真を見てから」
「そんな事無いよ。」と返すと、夕茜がさらにぎゅっと握ってくる。
「本当?」
両手を離し、私を抱きしめてくる夕茜。
「うん。ゆ、夕茜、大丈夫だから」
部屋の窓に淡い青と繊月。
「夕茜。」と声を掛けたら彼女が離れた。
「日凪、急にごめん。」
「ううん。」
「夕食作る。」
「うん。」
夕茜に抱きしめられるなんて。
アルバムを見て高1の頃に青衣と夕茜が夏に付き合い始めたのを思い出す。
大切な幼馴染だからと夕茜への気持ちを隠し、
社会人になってからも相談に乗っていた。
泣き顔の彼女を抱きしめては、夕茜の恋人になりたいと思って泣いてた。
彼女の事が気になってチラ見すると、
楽しそうにキーマカレーを作っている。
良い香り。
夕茜の料理を作ってる表情にもときめく。
いい加減、夕茜への気持ちに決着を着けないと。
いつの間にかキーマカレーが出来てたらしく。
「日凪、出来た。」
彼女に話しかけられてはっとする。
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