②コンテストについて

1/1

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

②コンテストについて

●アズマ:2回目は「コンテスト」についてインタビューしていきたいと思います。 最初にコンテストに参加しようと思ったきっかけは何ですか? ◯乃上さん:自分の小説を誰かに読んでもらいたい、そう思ってエブリスタに登録したのですが、誰も読んでくれない(笑) 考えてみたら、登録したてで長編の連載を始めても、本当に面白いのか、完結できるのか、なんの実績もない人の小説を読もうと思う方は少ないですよね。 ネットやエブリスタで、どうやったら読んでもらえるのかというエッセイを探して、実践してみました。その中で多くの方が言っていたのが、「名刺代わりの短編を置く」でした。 なるほど! まず短編を読んでこの人の書くものは好みかもと思ってもらえたら、長編も手に取ってもらえるかもと……。 短編は書いたことがなかったので、字数はどの位がいいのか、どんなジャンルが人気なのか等、まったく見当がつきませんでした。そんな中、エブリスタには「超・妄想コンテスト」があると気付きました。 「妄コンに合うような字数やテーマで書けばいいのでは?」と参加することに決めました。 ●アズマ:どうやったら自作を手に取ってもらえるか、最初に小説投稿サイトに参加した誰もが悩むことですよね。妄想コンテストは参加しやすく、なおかつ妄コン戦士との交流も増え、本当に良いコンテストだと思います。 ◯乃上さん:本当にそうですね!妄想コンテストを始めて、素晴らしい書き手さんに出会えましたし、毎回読んで応援して下さるいわゆる読み専さんにも出会えました。 初参加は2022年10月の183回「演じる」です。『家庭教師』というホラーで、交通事故で死んだ子の家庭教師に通う大学生の話です。残された家族全員がその子は生きていると演じてるんです。ヒトコワなのか霊現象なのか…という感じで話は進みます。 これ、選外でした💦それはそうだなと、納得しました。 そして落選後、これを第一章にして、『形代人形』という長編を書きました。2023年の竹書房×エイベックスピクチャーズ コラボで最恐小説部門の最終候補に残れたので、良い供養ができたかなと思っています。 短編はその起承転結をさらに詳しく書いていけば、あるいは短編を第一章にして続きを書けば、中編や長編に書き直せる……。そう考えれば、妄コンに出した作品の分ネタが貯まってるわけで、落選しても無駄ではないと思って書いています。 ●アズマ:短編から長編に育てて結果を出したという人はよく聞きます。竹書房の最終候補まで選ばれたなら、大往生ですね。落選してもまだまだチャンスはある、そう思えば妄想コンテストも大きな可能性がありますよね。次の質問ですが、初めて受賞した時はどんな気持ちでしたか? ◯乃上さん:次の184回「あなたと離れた理由」で『手を離したから』が佳作をいただいたのが初受賞でした。 小説で賞をいただけるなどとは思ってもみなかったので舞い上がりましたし、講評を何度も何度も読み返しました。 『家庭教師』は、こういうホラーが受けるんじゃないかと考えて書いたつもりだったのに選外でした。 一方、『手を離したから』は、自分の好きなものを詰め込んだ感じで書いたのですが選出されました。 幼い弟の手を離して行方不明にしてしまい後悔する兄と、天狗に弟子入りするためにわざと兄の手を離したことを申し訳なく思う弟の、兄弟愛の物語です。 天狗の団扇で世界を飛び回り珍品を手に入れて資金源にする洋装の天狗集団や、彼らから品物を仕入れて行商する不思議な骨董品屋が出てくるのですが、書くのがとても楽しかったです。 これが佳作をいただいて、「好きなものを書いていいんだ」と思えた気がします。 ひとつ反省が、その頃はカテゴリがよくわかっていなくて、「天狗が出てくるからホラー」としてしまいました。落選していますが、「人魚の肉を食べる話だからホラー」とかも……。 今なら、現代ファンタジーに入れていたと思います。 ●アズマ:妄想コンテストは、狙いに行ったら落ちて、何も考えず書いたのが受賞したり、それも面白さの一つだと思います。私の作品はジャンルに困ったらとりあえずヒュードラにぶち込んでいます。乃上さんも、すっかり受賞の常連となっていますが、受賞するコツはありますか? ○乃上さん:コツ、それはぜひ教えていただきたいです!良いものが書けた、これは自信作と自分で思っても、さらに素晴らしい作品があれば選出されませんから、対策やコツなんてあるのかしら?と……(><) ただ、お題をどう生かしきるかは大切なようですね。お題をさらっとなぞっただけでは駄目。そのお題がないと物語が成り立たない位に考える。でもそれがいつもできているかというと、自信はないです💦 最初は結果発表の日に選外で落ち込んで、しばらく思い出したくない、見たくないと思っていました。 でもある時、すぐに受賞作、全てではありませんが大賞とか気になった作品を読んでみたら、「こんな素敵な作品があれば、そりゃ落ちるわけだ」と妙に納得できました。 ●アズマ:分かりみがすごい笑。みんな経験していることでしょうね。 ○乃上さん:コツではありませんが、妄想コンで選ばれるには書いて応募しないとだめです。選外でも落ち込まず、切り替えてまた次を書くこと。そのためには、選出された作品を早めに読んで、「これは敵わない」「これは凄い!」と落ち込んだり感動したりして、なるべく早く立ち直って次を向くのがいいのかなと思います。 私がフォローさせていただいている方の多くは、妄想コン向けの作品を書いている方が多いです。アズマさんもそうですね(*^^*)        そういう方の作品を読むと、私では絶対に書けない視点や表現方法に出会い、これは敵わないと思うことがよくあります。楽しみで読んでいますが、創作する上でプラスにもなっています。 日ごろからいろいろな作品を読むことはとても大切だと思っています。 ●アズマ:私も乃上作品から勉強させてもらってますよ。妄想コンテストのお題を見た時、すぐに作品のストーリーが思いつきますか? もしくは、お題に合わせてネタ帳などから小説を作ったりしていますか? ◯乃上さん:ありがとうございます!それは嬉しいです。 ほとんどはお題を見てから考えます。タイトルが浮かぶこともありますし、物語が浮かぶこともあります。 またネタ帳はないのですが、パソコンにはエブリスタに来る前に趣味で書いていた書きかけの長編があります。それらを使うこともあります。 211回「夫婦」に出した『雪催い』はもともと中編か長編にしようと書いていたものです。 まず“雪催い”という言葉が心に残り、タイトルから物語を作りました。ただ、主人公が見る白昼夢のようなファンタジー部分が中編にすると何日にも渡り、嘘っぽさが増すかな?と思って、書くのが止まっていました。 妄想コン向けに短編に書き換えたところ、ファンタジー部分を一日にまとめられたのでかえって良かったかもしれません。 192回「騙された」の時は、どうしても思いつかなくて、タイトルをまず作りました。 ひそひそ鬼、見返りだるま、アマノジャックとか、ありそうでなさそうなものをいくつか作り、それを眺めていたら『ひそひそ鬼』の物語が浮かびました。 ●アズマ:妄想コンテストの賞金は何に使いましたか? ◯乃上さん:今年のお正月に栃木県の那須に行きまして、その時に家族に賞金でランチをご馳走すると宣言していたんです。私的には少し奮発するつもりでいました。ところがお目当ての店が昼は予約を取らず並ぶしかなく、家族に並べない人(短気💦)がいて、結局近くのお蕎麦屋さんで食べることになりました。安上りでラッキーでした(笑) あとは岩手県の遠野に行く遠征費用の足しにしようかと考えています。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加