六月の雫

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 Rのあれさえも評価されるのならば僕の才能が評価されない筈がない。  僕はRのだから。  早速自分の才能を証明しようと、僕は引き出しに突っ込んだお金を取り出す。  Kとは明日に会う約束をしていたが、あのKの事だ。  血眼になって賭博に没頭する程度だから今日も賭博に明け暮れているに違いない。  昨日の場所にいけばKはいる筈。  いても立ってもいられなくなり、僕は直ぐに家を出た。  案の定、Kは昨日の所にいて、またあの男達と吊るんでいた。  僕の姿を見て少し驚いたが、持ってきた金を見せると察した様子でスペースを開ける。  昨日と同じ所に腰を下ろしたのだが、昨日やったゲームとはまた別のゲームを男達はやっていた。  昨日のゲームはザ・賭博という感じがしていたのに、今日のゲームはやたらと優雅だ。  紳士達のやる知的遊戯。  そんなイメージである。  これは本当に賭け事なのか、と怪しまずにはいられなかった。  だが、僕の疑いは直ぐに打ち消される。  いざ始めるとこのゲームには人々の欲望が渦巻いているのを知る事になった。  一見するとただの優雅なカードゲーム。  しかし実際にやっているのはペナルティの押し付け合い。  誰もがを我が物にしようともがく。  一瞬でこのゲームに心を奪われた。  このゲームなら、絶対勝てる。  そんな気がした。  小手調べに少ない金額を賭けてみる。  案の定、期待していた通りの賞金が戻ってきた。  僕はニンマリ笑った。  さて、次は大金を賭けるか……
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