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父の祖母はイギリス人で、その遺伝は父にも少し残っている。
髪に茶色がかかっており、パーマをかけた様な感じだ。
二重の目は大きく、鼻筋もすっきり通っている。
贔屓せずに見てもなかなかのイケメンである。
母も美しかった。
白い肌に長くてふさふさした黒髪。
大きなぱっちりとした目には言葉で表現できないほどの優しさというものが溢れていた。
それに加え、名家育ちの母は気品があり、たとえ怒ったとしても決して怒鳴る事はしなかった。
そのかわりに母は涙を流す。
涙を流した母を父は慰めながら僕を責めるのがうちの説教だ。
ぽろぽろと大粒の真珠のように落ちる涙を見て、怒られるよりも懺悔の念が押し寄せてくる。
その為、物心ついた頃には出来るだけ母を泣かせないようにしていた。
だからこそどれほどあの日の事を悔いたか……
あの日とは、僕が十八になった日のことである。
日頃のストレスが溜まり、その日は素行がいいとは言えない友達、Kとつるんで遊んでいた。
「いいもの見せてやる。ついてこい」
ニヤリと笑うKの顔を見て、まともな事は考えていないだろうなと思いつつ、好奇心半分でついていった。
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