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「まさかまさか、あの隊員達があんな大それた事をするなんてな」
野太い声がしたので振り向くと立派な髭を生やした体格の良い壮年の男がいた。
(なんかチイチイ父に似てる)とニコニコは思う。
「和井三佐。自分は任務を全うする所存であります!」
三佐は一尉より一つ位が高い。
なお士長、曹長は存在するが尉長は存在しない。
「はっはっはそんな畏まらんでも良いよ君はもう1尉なのだからな」
「しかししかし、自分はまだ至らない所が沢山あって、ミルカを誰かに拐われてしまいました」
拓弘は口惜しげに言った。
「大丈夫だミルカは助かる。いや助けてみせるんだ君ならできる!」
和井三佐は拓弘を励ます。
「そうだよ一緒に頑張ろう!」
とニコニコ。
「そうだねニコニコ。和井三佐ありがとうございます」
「うむ男前になったな。幹部候補生の頃からはまるで見違えた!」
和井は瞳に光を讃えて言った。
(幹部になると下っ端とは大きく違ってくるのね。それに引き換え…)
ニコニコは別のシーンと比較して曹士ばかりの隊員の秩序の無さ、規律の乱れを思い出した。
ーーーそれはそれは避難民に炊き出しを行う時のこと。
「きゃあぁ!」
「何やってるのよ鳴海3曹!」
鳴海3曹という女性自衛官が料理に使う火にビックリする。
(こんなんでよく自衛官になったものね)
ニコニコは遠目でそう思ったものだ。
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