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ep.000 暗殺人形
ローデンハイム帝国とグラトニア共和国の戦争が始まって幾星霜。理由すらも忘れ果て、憎しみが憎しみを呼ぶ終わりなき戦場が広がっていた。
***
華奢な肩に羽織られた白い軍服は翻る。
同時に赤茶の髪もふわりと風をはらんだ。
少女は殺風景な白い廊下を静かに歩いていた。彼女から伝わる音は無い。音という音が少女を避けているような錯覚さえも覚える。
正確に、軍靴は歩みを刻む。
軍事施設の無骨な照明が瞬いた。少女はそっと顔を上げる。その弾みで少女の顔は露わになった。
少女を一言で形容すれば、誰も口を揃えてこう言うだろう。
『天使』と。
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