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その空間をどれほどの期間蒼夜が好んでいるのかは知らないが、その発言を裏付けるように、彼の肌は白く腕も細い。
いや、自分も同じか。
似たもの同士好んだ場所に落ち着いたのだと、悠人は改めて腑に落ちた。
「あとは、こんなところだから土地代も安い。人があまり来なくていいね。来たい人だけ来ればいい」
蒼夜はそう付け加えた。
「そうですね」
マグカップを棚に並べながら、悠人は一応同意した。
失礼ながら、こんな場所に来るのは変わり者ばかりである。陽に当たり、陽を好み生きているような人間にここは見つけられない。
今日も日曜の午後だというのに、客は1人もいなかった。午前に2人、先ほどまで1人いたが、大通り界隈のチェーン店カフェが賑わうこの時間に閑古鳥が鳴いているのは致命的なように思う。
だから、蒼夜と悠人の2人しか店にいなくても十分営業は回る。
そんな時に、その男は来店した。
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