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「珍しいね、客が来たよ」 店長らしからぬ発言で、蒼夜は悠人に目配せをする。軽く頷くと、悠人はガラスのコップに水を注いだ。 初めて見る顔の男――年は25くらいだろうか、白いシャツにジャケットを羽織っている。おとなしそうな風貌だ。 「お好きな席にどうぞ」 悠人は柔らかい笑顔で促した。 このカフェは、どの席にすわっても暗い。だからお勧めの席などないのだが、男は周囲を見渡して少し悩んだ素振りを見せた後、小窓のある席を選んだ。 小窓からは、光を全力で遮断するように入り組んだ蔦しか見えないのだが。 「いらっしゃいませ」 改めて言いながら、悠人は彼の目の前に用意しておいた水を置く。
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