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振り向いた先にいた彰広の目が、悠人を捉える。
「僕、君のことがもっと知りたい」
率直な言葉と大きな瞳は、無防備だった悠人の心に容赦なく突き刺さった。
「どういうこと、ですか…?」
消えそうな声で返すと、彰広ははっとして鞄を抱えた。
「ごめん、なんでもない」
そして、今言ったことを消すかのようにコーヒーを流し込む。
一体どういう意味だろうか。
彰広がサンドイッチを綺麗に完食したタイミングで聞こうとすると、制するように「お会計を」と立ち上がる。
「あっ、はい」
そして手早くカードで支払いを済ませた彰広は、「また来ます」と律儀に一礼すると店を出ていった。
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