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「え……」
ドアが閉まってしばらくした後も、悠人は立ち尽くしていた。
頭の中に、先程の彰広の声が木霊した。
――君のことがもっと知りたい。
「悠人」
すぐ後ろで名前を呼ばれ我に返ると、蒼夜が悠人の両肩に手をかけた。
「変な奴だな」
低い声で囁かれ、悠人の鼓動が速まる。
「気をつけるんだよ、悠人」
「はい――」
それは、バイト員を守る店長としての言葉なのか、それとも……。
それを言及しようとしたが、彰広がわずかに残したコーヒーから立ち上がる湯気に景色が歪んだ。
追及してはいけない。そう思い直し、悠人はカウンターの奥へ戻った。
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