中和。

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中和。

君の隣はいつも暖かそう 喩えるなら睡眠前の布団 若しくは包装前の花束 春の嵐に惑わされたぺトリコール 夏彩のインクで描かれた世界 秋波を送られても君一筋ね 冬は来ない そう嘆願したい 乗ってきた手拍子 稜線上の華美 手先に触れた雨催い 黄昏に隠された機微 空っぽが寧ろ心地好くて 湖の上で夢でも見ましょう 滲んだ窓からバベルが見えて 空が濁るまで この道が埋もれるまで 君がくれた文字付きの紙切れ ちゃんと額縁で飾っていよう 解決しないで 一人で行かないで 不確定曖昧な心模様でよかった 痛みはまだ神経を通っていないから 名前をつけるのは後にしよう 誰かがくれた栞じゃもう嫌なんだ 取るに足りない言葉が脳内で発火して 二重になった青春の瞼 反転超過 天気雨と霧雨の狭間 しとど髪の光沢 唾液を交えるのはもう少し後で 心の望む方へ進む力を 生きる事は戦う事 等しく時間は廻る 巡り恵まれた涙腺を傷つけないように 語り合った思い出も 無駄だと思った日記帳の交換も 素直にはにかんだ君の微笑みも その全部がもっと欲しくなる 交わしあった約束も か細い祈りも 花束の一欠片 何処までも綺麗に映るから 消えない傷を庇う必要は無い 片道切符の先でまた逢いましょう 中和お預け 濃い人生を楽しんで
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