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カトレア
あの線路ちょっと錆びてて綺麗だね
少しだけ眠ってたみたい
すぐに名前忘れちゃうんだね
肺胞に酸素を流して 冷えた空気ならなお良いね
掻き集めた画像から最善を組み合わせて
誰かの栞には頼らないで 全部君の物だから
澄んだ輸液を私に流して
私の口にチョコレートを流し込んで
眼鏡の有無は任せるよ
金網越しに電車が流れたね
空に誰かの涙が固まってるね
未知の道は満ち足りない程に道草を食うね
滲む色彩で細胞も着色されていくね
頭がある限り私はどこまでも一緒だよ
でも嫌になったらちゃんと正しく廃棄して
教室思ったより広いね
隣の子ちょっと可愛いね
でも目は虚ろだね 何処見てるんだろう
持て余した暇は何処で潰そうか
木片の間に挟まろうかな
君は無理だけど
酸いも甘いも舌が無いと感じられないの
だから私はコメンテーターにはなれないよ
チョコの味も本当は感じないよ そういう決まり
行儀悪く刺身を食べてみようかな
適当なレコードでも買って流してみようかな
紅葉の上でダンスしてみようかな
風呂場のカビを見るとげんなりするね
部屋の隅の空気は濁ってるし
恋煩いしても三日で忘れちゃうね
好きな食べ物が年々少なくなってきたよね
昔はケーキなんて殆ど食べられなくて
クリスマスとか誕生日の日にだけ食べてたね
でも大人になって
いつでも買えるようになっちゃったから
もうあんまりケーキ好きじゃないね
ずっと空回りしてて良いよ
そうしたら私笑ってあげるから
これでもう無敵になったね
これはあなたの為の祈り
現実と虚構は等価値だと
信じ続ける為の座標
眠気が無くなったらまたおいで カトレア
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