第一章 短い結婚生活

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それどころか私はまるで空気にでも思われているようだ。 そこまで無関心なのは返って清々するが、一応は一緒に暮らしているので挨拶くらいはしてほしいと願ってはいけないだろうか。 それに知らないうちに帰ってきているのはびっくりするし。 あと、気になることがあるのだ。 もう、夜中に近い時間になってキッチンへ行く。 ゴミ箱を開けて中をチェックした。 「やっぱり食べてないよね」 宣利さんが家で飲食している形跡がないのだ。 最初は外食派の人なのかと思った。 しかし今日のように、仕事が終わってどこにも寄らなかったとしか思えない時間に帰って来るときも多い。 それに休日はトイレと入浴以外、ほぼ部屋から出てこないのだ。 もしかして部屋で食べているのかと失礼ながら週二で入っている家政婦さんに断ってゴミチェックさせてもらったが、やはり形跡はなかった。 代わりに入っていたのは、大量のサプリメントの空袋だった。 ……あの人はサプリメントだけで生活しているのか? そんな疑惑が持ち上がってくる。 いや、ここまで変態チックにチェックする必要はないのはわかっている。
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