第一章 短い結婚生活

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それはそうだけれど、食べて帰ったのなら無理して食べる必要はない。 それに作ったのは私の勝手だ。 「もしかして今までも、僕の帰りが遅い日も作ってたのか」 「……はい」 「うん、わかった」 それっきり彼は黙って料理を食べている。 てっきり、怒られるのだとばかり思っていた。 それとも呆れ果ててなにも言えない? いや、もしかしたらただの事実確認という可能性も捨てきれない。 なにしろ宣利さんはいつも真顔だから、なにを考えているのかわからないのだ。 「ごちそうさま」 今日も食べ終わり、丁寧に彼が手をあわせる。 しかしいつもと違ったのは、食器を避けて携帯を手にした点だ。 「君の携帯、貸して」 「はぁ……?」 なにをしようというのかわからないが、渋々自分の携帯を渡す。 どのみち、ロックがかかっている。 「ロック、解除して」 「えっと……」 受け取った携帯を彼が戻してくる。 さすがにそれはたじろいだ。 私の素行調査でもしようというんだろうか。 「早く」 「……はい」
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