第一章 短い結婚生活

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レンズの奥から睨まれ、仕方なくロックを解除して渡した。 別に見られてやましいものなんて……電子書籍のBLとTLのコレクションくらいしかない。 「アカウント登録して」 今度、戻ってきた携帯の画面にはスケジュール管理アプリが表示されていた。 もしかして、これをインストールしていたんだろうか。 宣利さんがなにを考えているのかさっぱりわからないまま、アカウントを作った。 「できたら、貸して」 「はい……?」 再び携帯を彼に渡す。 画面にしばらく指を走らせたあと、彼はまた私に携帯を返してくれた。 「僕のスケジュールを共有してある。 これで確認すればいい」 椅子から立ち上がり、宣利さんはテキパキと自分の食器を下げていく。 確認したそのアプリには確かに、倉森宣利さんとスケジュールが共有されていると表示されていた。 「あ、あの」 「じゃあ」 私を無視し、数歩歩いたところで彼が振り返る。 「今日も美味しかった」 「えっ、あっ、お粗末様でした」 戸惑っているうちに彼はリビングを出ていった。 「えっと……」
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