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でも、行かなくていいって?
彼の姉である典子さんに呼びつけ……お招きされたんだけれど。
「本当にいいんですか」
そろりと上目遣いで彼をうかがう。
「僕がいいと言っているんだから、行かなくていい。
それだけだ」
「はぁ……」
それで話は終わりとばかりに宣利さんはお味噌汁を啜った。
行かないでいいのは少し……とても助かる。
典子さんは私がお金目当てでこの家に嫁いできたと決めつけていて、私をよく思っていなかった。
確かに父が経営している会社の立て直しを条件に結婚を決めたので、お金目当てと言われても否定はできない。
そんな具合なのであまり顔をあわせたくなかったのだ。
それに。
『宣利はあなたに好き勝手させているようだけど、私はそうはいかないわ。
倉森の嫁としてしっかり躾けてあげる』
……なんて呼び出されて、行きたい人間がいるだろうか。
……もしかしてまた、気遣ってくれたのかな。
もくもくと箸を運ぶ彼をちらりと見る。
宣利さんは自己完結しているからか、とにかく言葉が足りない。
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