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そこは今まで亡くなった曾祖父が住んでいたところで、セレブたちの住む街にあった。
「凄い街だな……」
近代的な建物がそびえ立っているかと思ったら、ヨーロッパから移築したんじゃないかと思われるクラッシックな建物も建っている。
それらが微妙な塩梅でマッチしていた。
タクシーは立派な桜並木の坂道を登り、北側にある高級住宅地へと向かっていく。
春先にお見舞いへ行ったときに曾祖父は今年はここの桜が見られないと愚痴っていたが、確かに時期になればこれは見事なものだろう。
住宅街に入るゲートで一度、止められた。
倉森の家のものだと告げたら、すぐに通される。
少し走り、またゲートの前で止まった。
先ほどと同じように倉森の家の者だと告げ、通してもらう。
脇道かと思ったらそこから倉森の土地らしく、まもなく屋敷が見えてきた。
「でっかい家……」
曾祖父が建てたという屋敷は、どこかの華族の屋敷を移築し、改築したものらしい。
だからか、モダンという言葉がぴったりな感じがした。
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