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「待たせて悪かったね、秋乃」
そう――そこにいたのは、私に生きる意味を教えてくれた大切な人……フェレトリウスその人だった。
彼は私を横抱きにしたまま、そっと額に口付ける。
「怖い思いをさせてしまったね。でも、もう大丈夫だよ」
輝く銀の流星の様な瞳が、穏やかな光を湛えて私を見つめる。
その瞳に見つめられ、安心した私は深く息をついた。
「フェレトリウスさん……」
同時に、再度溢れ出して来る涙。
私は彼の背中に腕を回し、その厚くてあたたかな胸にぎゅっとしがみついた。
「秋乃……。もう大丈夫だよ。君は、何があっても私が必ず守る」
そう告げると同時――私は、彼の姿が変化しているのに気がついた。
短かった銀色の髪は長く伸び、瞳は淡い金色に染まっているのだ。
だが、変化はそれだけではない。
なんと、彼の全身が……淡い光を放っているのである。
そうして、とても冷たい――私が今までに見たことも聞いたこともない様な、絶対零度の声と瞳で言い放ったのだ。
「良い機会だ。本物の全能神というものを見せてやろう」
フェレトリウスの言葉の意味が理解できない様で……シルウィスは大きな唸り声を上げると、私を捕まえる為、こちらに向けて全身で突撃を仕掛けて来る。
「秋乃を渡せぇぇぇ!!!!」
「嫉妬に狂った男は見苦しいな。潔く散りたまえ。『裁きの雷霆』」
フェレトリウスがそういうと同時、教室の天井を突き破り、轟音を立てながら大きな雷がシルウィス目掛けて落ちて来る。
ズガァァン!!!!
脳天から雷に貫かれ、全能神を騙っていたシルウィスは一瞬で完全に沈黙したのだった。
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