5人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
アサガオも、小学生の頃は咲くのを毎朝楽しみにしていた。
今じゃどうでもいい。
咲いたとき、世界でたった一つの一番きれいな花だと思ったのに、他の子のと大して変わらなかった。平凡でよくある同じような色で同じような形の花。……あたしと同じ。
ああもう、鉢に水をやるだけでもおっくうなのに、掃き掃除だってやりたくもないのに、このぐるぐる巻きの竹ぼうき。昨日、片付けるのがめんどうでテキトーに立てかけておいたのがアサガオのすぐそばだったという不覚。
家の前を掃いておかないと、お母さん、というか、お隣がうるさい。なんだかんだ細かくいちゃもんつけてくる意地悪ばあさんだと有名なのだ。
ならチリトリですくうとか……やってみたら、うわあ掃くよりかったるい。じゃあ竹ぼうきから無理やりツルをひっぺがす、……のも、気が引ける。ポキ、とか言われたらヤダし。
制服のまま立ちつくしていたら、「どうしたの」と後ろから声がした。
振り返ったら、その「意地悪ばあさん」だった。
最初のコメントを投稿しよう!