陽気なアサガオ

　カバンを手にすると足りなかったピースが満たされ、オッサンはまごうかたなきサラリーマンになった。
　でも、めちゃくちゃ喜んでるその理由は。そりゃあ大切な書類とか入ってるから――じゃあなくて、娘さんへのおみやげが入ってたんだって。
　見せてくれたのはペンギンのぬいぐるみだった。

「娘さん、いくつ？」
　聞いたら10歳だって。なら、そのぬいぐるみ……ビミョーじゃないかなあ。って言おうと思ったけど、オッサンは「よかった……本当によかった」と涙を流さんばかりにその包みをなでていて、言えなくなった。

　いつも側にいられなくても、ちょっとくらいズレていても、こんなに思いがこもってる。
　そんなおみやげをもらえたことに、娘の方も気がつかなくちゃいけないなあ。ね、アサちゃん。