気絶探偵

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「俺、家の鍵はポストに入れてるんだよね。桜田門警部に応援を頼むよ。あれ、電話がかからない」  先生は慌てて携帯電話を操作していたが、電波が悪いのか接続がうまくいかないようだった。焦りが彼の動きをさらにぎこちなくしていた。 「先生、かからないって、どんな感じなんですか?」 「うんともすんとも言わないんだ」  私は納得して説明を始めた。   「スマホを紛失したことにされて、再契約されましたね。身分証明書も住所、生年月日とかをもとに偽造されてますね。犯人は、先生の名義で電話を使ってます。ひょっとして復元して、今の先生のスマホのコピーを持ってるかもですね。そしたら、先生が記憶していないパスワードも使い放題」 「なんだと」    先生は、あまりの出来事に気絶された。やばい。  私は先生に手錠をはめる。  先生が突然騒ぎ出す。 「なんだよ。また、入れ替わりかよ。ふざけんなよ」  私は、顔を覗き込んだ。 「あなた、憑依の話を信じてるけど、そんなことが現実にあるわけないじゃない。私たちは、奇跡を科学で起こしてるの。  あの依頼は、犯人を見つけることじゃなかった。犯人の罪を重くして刑務所から出られないようにすること。  だから、探偵の記憶という架空のデータを与えて罪を重ねさせてるの」
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