気絶探偵

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「なんだと!」 「そして、その記憶には、いくつもトラップを仕掛けた。記憶を利用して動くと確実に捕まるように」 「記憶を利用すれば、罪を重ねるか、捕まるかということか。いや、いずれ捕まってしまうじゃないか」 「あなた、先生の家にいるの」 「そうだよ。今入ったところだ」 「すぐ家を出て、鍵をかけて。鍵はもとに戻すのよ。どの記憶がトラップなのか書き出したデータをあげようか」 「おまえ、探偵を裏切るのか?」 「あんな頼りない人、未練はないわ。百万円でいい。気絶沢探偵が月野ぴょん子と出会った場所に持ってきて。そこでデータを渡す。大丈夫。絶対成功する」    そして、さっきまで頭を抱えていた先生が、顔を左右に振って立ち上がった。   「月野くん、やっぱり、僕の家を物色してたよ。行くぞ。月野ぴょん子は」 「えー、こんな時に合言葉ですか? そんなに慌てなくても、もう悪さはしないと思いますよ」  先生が泣きそうな顔をする。 「2件とも犯人を捕まえられなくて報酬がもらえないんだ。その上、俺の記憶を悪用してあいつが何をするかわからん」  
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