2

1/11
前へ
/61ページ
次へ

2

 蘇我との一件から二週間程が経ち、斗和は再び恵那と忍と行動を共にするようになっていた。  恵那たちと行動せず学校に来ていなかった間に斗和が何をしていたのかというと、隣町にある知り合いの飲食店でアルバイトをしていたのだ。  恵那と忍の一件があって二人から距離を取っていた事は事実だけれど、それとは別に実は斗和の祖父がぎっくり腰になってしまい、良くなるまでの収入が減っていた事もあって生活費の足しにしようと祖父にも内緒でというのが事の顛末だった。  そんな祖父の腰の具合も良くなり、アルバイトをしなくても何とかなりそうになった斗和は、いつも通り時折サボりつつも再び学校へ通いだした。  穏やかな日々が続いていたのも束の間、突如新たな事件は幕を開けた。  それはある日の下校時刻、担任に呼び出された斗和を下駄箱付近で待っていた恵那と忍。  その途中でプリュ・フォールの一人、秋月(あきづき) 星矢(せいや)が忍に用があると話し掛けてきた事がきっかけで手持ち無沙汰になってしまった恵那が自分の下駄箱を開けて靴を履き替えようとすると、靴の上に一通の手紙が置いてある事に気付いた。 (……手紙……? 何だろ?)  忍に言った方がいいかとも思ったけれど、星矢と話している最中である事や手紙くらいならとひとまず中身を確認する為封を開けてみると、白い紙が入っていて赤い文字で【江橋 斗和と一緒に居るのを止めろ】とだけ書かれていた。 (……何、これ?)  突然突きつけられた脅しのような手紙に戸惑う恵那。 「おい、どうした?」  そこへ、担任からの呼び出しを終えた斗和が青い顔をしながら立ち尽くしている恵那に声を掛けた。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加