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「う、ううん! 何でもない! それより、もう用は済んだの?」
「……ああ、相変わらず説教長ぇんだよな、担任」
「そもそも授業サボるから怒られるんでしょ?」
「俺は受けなくても成績良いからいいんだよ」
「はいはい」
どうしたのかと問われて話そうか迷った恵那だけど、もしかしたら悪戯かもしれない、もう少し様子を見ようと手紙の事を斗和に話さなかった。
そんな恵那の様子を不審に思いつつも、話したくない事なら無理に聞くのも野暮かと思った斗和もまた、それには触れなかった。
しかし、得体の知れない手紙は翌日以降も届く事となる。
けれど、手紙の内容が毎日違っていた。
初めは【江橋 斗和と一緒に居るのを止めろ】というものだったけれど、翌日に届いた手紙には、【忠告を聞け】と書かれ、その翌日には【ただの脅しや悪戯だと思うなよ】と書いてあった。
流石に不気味に感じた恵那はやっぱり斗和に話すべきか悩みつつも、手紙が届くだけの嫌がらせ程度で相談するのもどうなのかと、なかなか話せずにいた。
そして、手紙が届き初めて一週間、【これ以上無視するなら仲間が傷つくぞ】という内容の手紙が届いた翌日、事態は動き出した。
「何だって? 星矢たちが襲われた!?」
屋上で昼食を取っていた斗和と恵那と忍の元に、プリュ・フォールの一人、影山 一二三が血相を変えて屋上へとやって来ると、星矢を始めとするプリュ・フォールのメンバー数人が何者かに襲われ病院に運ばれたという話を聞かされた。
その話を聞いた瞬間恵那の顔色が変わったのを、斗和は見逃さなかった。
「……とりあえず、忍、一二三と一緒に病院向かってくれるか? 俺も後から行くから」
「分かりました!」
一二三と共に忍に病院へ向かうよう指示した斗和は、二人きりになった屋上で顔色の悪くなった恵那に問い掛けた。
「――恵那、お前……何か隠してるよな?」と。
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