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「……え?」
「この前から何かあるとは思ったが、今回の件、何か知ってるのか?」
「…………」
「恵那」
気付かれていたと分かった恵那はとうとう観念したのか、
「……実は、一週間くらい前から、変な手紙が下駄箱に入ってたの」
言えずにいた手紙の存在を斗和に打ち明けた。
そんな恵那の話を聞いた斗和は、
「馬鹿野郎! 何でもっと早く言わねぇんだよ!?」
案の定、怒りを露わにして恵那を叱る。
「ごめんなさい……手紙が届くだけで実害が無かったから、ただの嫌がらせかと思って……まさか、こんな事になるなんて……思わなくて……本当に、ごめんなさい……被害に遭った人たちに何てお詫びしたら……」
流石の恵那も言わなかった事を反省し、謝り自分を責めるも斗和が怒ったのは事件が起きたからでは無くて、
「そんな事はいいんだよ! そもそもアイツらが襲われたのはそれが原因とは限らねぇんだし。それよりも! 俺が怒ってんのは、何で隠し事をしたのかって事だよ!」
手紙にしても何にしても、その存在をすぐに話さなかった事を怒っていたのだ。
「……だって、手紙くらいで、いちいち話すのもって……」
「現にこうしてそれが原因かもしれねぇ事件が起こった。これがもし、お前に直接的な被害のある事だとしたらどうすんだよ? 手紙の存在知らなかったら何の対処も出来ねぇだろ? 変な気遣わねぇで、何でもいいからきちんと話せよ」
「……ごめん……」
「とにかく、今後手紙が届いたらすぐに俺に言え! いいな?」
「うん……」
「俺は今から病院へ向かう」
「わ、私も……」
「いや、お前は教室に戻ってろ。放課後また迎え来るから」
「……分かった」
話を終え、病院に向かう斗和に教室まで送って貰った恵那は、自分にも何か出来ないかを考える。
そして、
(勝手な事するなって怒られそうだけど、このまま何もしないとか、やっぱり出来ない……)
ある事を思いついた恵那は自分の机に戻ると、ノートから一枚ページを破って例の手紙の送り主へ向け【どうすれば止めてくれるのか】という内容の手紙を書いて自身の下駄箱へ入れに行った。
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