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 下駄箱に入れた手紙は無くなっていたもののそれについての返事は無くて、その日から手紙も来なくなる。  そして、結局プリュ・フォールのメンバーが襲われた原因が手紙のせいだったのかも分からず、恵那は不安を抱えたまま日々を過ごす事になった。  斗和には気にしない方がいいと言われたものの、何の解決もしていないものに対して気にしないというのも無理な話だった。  手紙が来なくなって二週間程が経った、ある日の事、 「――恵那、忍が、轢き逃げされたらしい」  学校からの帰り道、いつもなら三人で帰るのだけど、その日は用があると言って先に帰っていた忍がどこかへ向かう途中に轢き逃げに遭ったと、仲間からの電話で知る事になった。 「忍くんが!? 容態は?」 「幸い、かすり傷と打ち身程度で済んだらしい」 「そ、そう……。それなら良かった」  忍が被害に遭った事を聞いた恵那の脳裏には再びあの手紙の存在が浮上した。 (やっぱりこれも、あの手紙のせい……?)  最近は届かなくなって多少安心はしていたものの、突如訪れた新たな被害に不安が募る。  そんな恵那の不安に気付いた斗和は、 「大丈夫だ、お前のせいじゃねぇ。手紙だって暫く届いてねぇんだろ? 今回の事も恐らくクロスや他のチーム関係でのいざこざが原因だ。余計な事は考えるなよ」 「……うん」  恵那の不安を取り除く為そう口にしたものの、その不安が拭える事も無く、更には翌日再び例の手紙が届く事になる。
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