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「あっ、そういえば......」
林博士は『ぬるくなったコーヒーが嫌なのよね』と、いつも言ってて
ホットにしてもアイスにしても、間を置かずに飲み干している。
「辛いもの全般!」と、叫んでる彼は、以前の飲み会のときに
『辛いの苦手で、店の本格的なスパイスのカレーが無理なんです』
と、言っていた。
「温めてないコンビニ弁当!」と、叫ぶ彼女は、冷えたごはんが
好きじゃないと、昼食は電子レンジで温めている。
「博士、嫌いなものというか、口にするのがダメなものでは?」
「ぬるくなったコーヒー!」と、叫びつつ、博士がうなづいた。
そしてスマホを操作していく。
〚 さっきの白い煙、薬の成分の暴発だったと思う。
大量だったせいで、鎮静作用とは逆の効果を発揮して、
言語パニックが起きてる。それが一定の単語しか発せなくしてる。
もちろん仮説でしかないけど、この方向性で確信が持てる!〛
「ニンジン!」
「バナナ」
「お母さんの作る梅酒!」
〚 みんな、声を出さないで!ややこしくなるから!
会話とか意見はスマホのメモかラインで!
というか、お母さんの作る梅酒って気になる!〛
〚 母は梅酒を手作りするんですけど下手なんですよ。
でも大瓶いっぱいに完成しちゃうでしょ?
みんな我慢して飲むんです。子供の頃からトラウマ〛
という告白が、社内連絡網のラインにきて。
みんなで〚 気の毒!〛と、返信した。
〚 それにしても、ラインは冷静に打てる。脳内に作用してない?〛
〚 正確には脳内の一部に作用してる?〛
〚 でも、心に作用する成分の暴走作用でしょ?心の損傷かも 〛
〚 心が拒否するものを口に出してる?〛
〚 ともあれ蹴った私のせいです、ごめんなさい!〛
「そこはまあ、置いときましょう。
とにかく事態をなんとかしないと」
〚 なんで谷原くんだけ無事に喋れる?〛
「あ、僕?風邪のせいでマスクをしてたから?かな?」
〚 谷原に命運がかかっている!〛
「えぇっ?」
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