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午前4時、店内のバックヤードにあるパイプ椅子に腰を掛ける高橋大貴は転寝をしていた。
急に店内に鳴り響いた入店音のBGMに驚いて目を覚ますと、新聞配達員が朝刊の束を抱えて入店してきた。
いつもと同じ配達員、いつもと同じ時間、そろそろバイトも終わる時間だとそんなことを考えながら大貴はレジの前に戻って気だるげに立ち、什器棚に丁寧に新聞を並べていく配達員を眺めていた。
ここのコンビニでバイトを始めて2年目、大学入学と同時に始めたバイトで、毎月両親から振り込まれる仕送りとは別に少しでも足しになればいいと思い始めたバイトだったのだが、大学を中退してしまった今はフルタイムで働いている。
元々大学に進学する意思はなかったが、大学を出ていた方が将来的に有利だからと、両親からの強い説得によって泣く泣く地元から上京して関東圏の大学に進学した。
嫌々ながらも入学当初は真面目に朝から授業を組んで出席していた。
何か将来やりたいことが見つかるかもしれないし、サークル活動なども並行して続けていれば恋人もできたりして充実した大学生活を送れるかもしれない、当初はそんな期待を勝手に膨らませていたが、性根が飽きっぽく怠け者の彼に継続する力など無く、バイト代と親の金を持って夜の街に繰り出しては散財する日々を送るようになった。
初めての都会の繁華街での遊びにどっぷりはまってしまった彼は、金が足らなくなると借金をしてまで遊ぶようになってしまった。
そんな生活を続けていると、次第に授業もサボるようになり、入学から1年ほどが経過したタイミングで両親に内緒で中退してしまった。
中退してすぐは両親に打ち明けることが出来ずにいたが、数日が経過して父親から連絡が入ると、相談もせずになぜ勝手に大学を辞めたんだと強く問い詰められた。
散々父親と揉めた挙げ句、通話を自分から強引に切る形で話し合いには応じず、その後も両親からの電話、メールなどの連絡は全て無視を決め込んだ。
後日、心配した母親が何度か大貴の住むアパートに訪ねて来たりもしたが、居留守を使ってやり過ごしたり、郵送されてきた両親からの手紙も一切読まずにそのままゴミ箱に捨てたりと、両親からの連絡は完全に断っていた。
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