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「好きだよ。だって、琴音が初めて俺に作ってくれた手料理だから」
「そ、そうだっけ?」
まるで
愛おしいものを
見ているような
表情と瞳で私のことを見つめる時兄。
そんな
表情と
瞳で見つめられると
意識せずにはいられずに
胸の奥がキュンと鳴りむず痒くてたまらない。
「最初のオムライスはお世辞にも上手とは言えない見た目と味だった。」
「あははは……」
「でも、琴音が初めて俺に作ってくれたオムライスは俺にとってその日から特別な料理になったんだ」
「そんなに?」
「好きな子が作った料理だからな」
その時の記憶は
私自身、正直言って曖昧で
話を聞いても
ハッキリと思い出せない私とは裏腹に
昔のことを
こんなにも大切な思い出として
時兄が覚えてくれていたことがこの上なく嬉しく思えた。
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