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「彼女」
「……あら、本命?私たちの時は」
「あのさ、余計なこと言わなくていいからさっさと目の前から消えてくれない?」
驚くくらいに
冷たい表情と声の時兄。
普段
優しい眼差に優しい声で
私へと接してくれているからこそ
隣にいる人がまるで別人のように思えた。
「なによ、久々に見かけたから声かけてあげただけじゃない」
「迷惑」
「まあ、白澤くんはそういう人だったわよね。だから後腐れなくて楽だったし」
後腐れ……
やけに
その言葉が違和感として
私の頭の中で何度も繰り返される。
「じゃあ、また寂しくなったら連絡してね?白澤くんなら、いつでも相手してあげるわ」
そう言いながら
時兄の隣にいる私を見て
フッと勝ち誇ったような
そんな笑みを浮かべ女性はその場を去った。
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