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「上がったか?」
お風呂から上がると
洗い物を
終わらせソファーに座り
本を読んでいる時兄の姿があって
部屋の
電気を消した私は
自分の身体へとタオルを
巻き付けた状態で何も言わずに時兄に抱きついた。
「……琴音、どういうつもり?」
真っ暗な部屋に
カーテンの隙間から
差し込む月明かりだけが頼りで
時兄の表情も
大胆な行動をしておきながら
真っ赤であろう
自分の顔もよく見えない状態の中
ただひたすらに時兄の
首へと腕を回してギュッと身体を密着させた。
「事と次第によっては俺、いつもみたいに琴音に優しくできないかもよ?」
耳元で
聞こえてくる
時兄の声は
いつもの穏やかな声ではなく
……多分、いや確実に怒っているような気がする。
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