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ゆっくりと
私の肩を押して
自分の身体から私を離し
自分の着ていた
カーディガンを脱いだ時兄は
バスタオル1枚の私の身体にカーディガンを羽織らせた。
「……こんなに身体冷やして。琴音に風邪でもひかせようものなら奏太から何されることか」
寒さなんて
気にならないくらいに
私の頭の中は
さっきの女性への嫉妬心で支配されていて
今も嫉妬心が
消えたわけではないけれど
少しだけ落ち着きを取り戻しつつあった。
「……ごめんな琴音」
私の肩に
頭を乗せながら
今にも消えそうなくらいに
小さくか細い声でそう呟いた時兄。
「……俺はお前と違って汚れた人間なんだ」
「……」
「好きでもないヤツを抱いたことあるし、その時は欲求が満たされればそれでいいと思っていた」
「……」
「そんな汚れきった俺を、お前が変えてくれたんだ。」
「私が?」
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