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温室独特のむわっとした空気と、たくさんの木々や色とりどりの花。早速ヒラヒラと蝶の舞う姿が目に映った。
みんなは飛んでいる蝶とネームプレートを見比べながら楽しそうに進んで行く。
「うわッ…何か来た‼︎何コレ」
岡崎が突然オレンジと茶色の混じった蝶の乗った左腕を私の目の前に突き出してきた。
「ヒィっ」
丸い目玉みたいな模様と茶色い体に長い触角…。
「何それ‼︎キモっ」
陽ちゃんの声に反応して環奈と宮辺が覗き込んできた。
「あ、それさっき写真見た気がする」
宮辺が指差した方へ移動すると『タテハモドキ』と書かれたネームプレートがあった。
「あ、コレだ」
「待って‼︎そこに立ってて」
岡崎withタテハモドキの写真を撮る陽ちゃんの横で環奈が
「私の所にも何か来ないかなー?」
などと言っている。宮辺は餌場に群がる蝶の写真を撮り、里中は変な形の植物を興味深そうに見ていた。
さっきの『タテハモドキ』のせいで長袖の下に鳥肌が立っている。
気持ち悪い…早く出たい。
正直今は笑顔でいられそうにない。
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