パニッキュン

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 震える手で何とか携帯を持ち、花の写真を撮っている振りをする。 「清良ー」 「あ、先行ってて良いよ‼︎すぐ追いかけるから」 「分かった」  目を閉じて何度か深呼吸を繰り返しているうちに段々と落ちついてきた。 「…よし、行こう」  踏み出した足の数歩分先に、まさかの物体を発見し、思わず「ヒィっ」と声が出る。  私の天敵、トノサマバッタ…。  身体が震え出す。  来た道を戻って外に出ようと思っても、足が動かない。  どうしよう…涙が出てきた。  まさか身体がこれ程までにトノサマバッタを拒絶するなんて思ってもみなかった。汗ばむ手を握りしめて"飛んで来ないで"と祈る事しかできない。
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