美夜子さんと吸血鬼の恋愛事情

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「おぉっ!吸血鬼ってリアルに存在するんですかっ!?」 「あれはフィクションの世界ですよ」 俺はスーツの胸ポケットから、普段から愛用しているくたびれた手帳を取り出して、パラパラとページを捲る。そして、既に解決済みの事件の詳細が書かれた箇所を探し当てた。 「事件発生は今から約五ヶ月前。○○区に住む女子大生が友人と遊びに行ったきり行方不明となり、両親から捜索願いが出されました。彼女は女友達三人とランチをした後、ゲームセンター、服飾店などを経て、午後四時過ぎに彼女達と別れた。それから数分後に地下鉄に乗車。四駅先で降り、五番出口から出た後、行方不明となった」 「それでそれで?」 「その二週間後。都内のマンションの一室から、行方不明の女子大生と思われる遺体が発見されました。死因は失血死。体内に血液は殆ど残っておらず、彼女の遺体は干からびていました。首や腕、脚などには噛み跡と複数の注射痕が残っており、また女子大生の抵抗の痕跡は確認出来ず。強姦の形跡もありませんでした」 「うんうん」 「部屋の主は交際相手の院生。彼の冷蔵庫からは女子大生の血液が付着したボトルが数十本発見。全てのボトルの飲み口から院生の唾液が検出され、血は全て飲まれている状態と判明しました。しかしその院生は行方を眩ませ、一ヶ月後、山奥にて遺体で発見されました」 俺はこの手帳があるので、事件の真相を知っている。だが美夜子さんはどう見るのか。彼女の頭なら当ててくるだろうけれど。――柄にもなく、そして不謹慎にもワクワクしてきた。 美夜子さんは微笑みながら俺を見ると、口を開いた。 「その院生さんは病気だったんですよね?それも重症の」 何処か遠くを見る目をした美夜子さんは続ける。
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