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《告白》
外で泣くのも初めてであった。
「ごめんね、愛菜」
「……いいよ」
ぎこちなさはありつつも和解をし、美香を部屋へと招き入れた愛菜は二人に茶を出す。
アールグレイが香る紅茶に口を付けた美香は息を吐いた。
「良かったよ……。愛菜とまたこうやって話せて。もうあんなこと絶対にしないから」
「……本当にしないでよね?」
「もちろんっ!」
ふわりと笑う彼女に愛菜も微笑めば「そういえば……」そう言って愛菜の傍らに居るルゥを見つめた。
「愛菜にこんなかっこいい彼氏居たんだね。あたし知らなかった!」
「か、彼氏っ!??」
愛菜が赤面し首を横に振るがそれでも美香は不思議な様子だ。
「でもインコに変わる姿も見えたし……、あなたって何者?」
「何者でもない。俺はラプラス国という国から来たルード・バンシェンルだ。今は試験でこの国に来ている」
「ラプラス……? そんな国、聞いたことないな~。あ、あたし美香! よろしく、王子様」
「……よく俺が王子だとわかったな」
「なんとなくね」
紅茶に口を付けて味わう様子のルゥの手元にある懐中時計を美香は視線を向けて戻した。
「それで、王子様が愛菜になんの用事? あたしが言うのもなんだけど、もしかして……お嫁さん探しとか!」
「や、やめてよっ、美香! ルゥは試験をパスする為にここに来ていて、私はただの成り行きで――」
「いや、偶然とは限らない」
「えっ?」
戸惑う愛菜にルゥは紅茶を飲み干した。
「俺は様々な国を渡る際に色んな動物に憑依した。憑依してその者が自分と相性が合うかを見定めていたのだ。ただこの世界、――いや。どの国よりも一番心が通じていて憑依しやすかったのは……お前の飼っているインコだ」
「……ど、どういうこと?」
「つまり、お前が飼っているインコには俺の心も入っていたんだ」
衝撃的な発言に恐れおののく愛菜ではあるが、それでもルゥは彼女を見て離さない。硬直して動けない彼女の手を取り口元へ寄せる。
愛菜が一瞬だけ動いた。
「俺の心が動いたのはお前が初めてだ。……どうかラプラス国の王女として、将来の王妃として、俺の傍に居てくれないか」
軽いリップ音がした先は自身の手元であった。淡く色づいた薄い唇が心を縫い留め、視線でさえも離すことはなかった。
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