《夢かな》

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《夢かな》

「ピィッピィッ!」 「な……、なんで、ルゥ?」 「ピィッ!」  元気よくルゥが鳴いているが愛菜には意味がわからなかった。ルードを住居侵入罪で訴えるまではいかずとも、どうしてここに来たのかを聞きたかったのだ。  だがルードは懐中時計をかざしたかと思えば、ルゥに変身していた。 「……意味がわかんない。これって、夢?」  頬を抓るが痛みがあった。しかも注いだ茶もあるのだから夢などではない。  ルゥが遊び半分で湯呑によじ登ろうとしたので慌てて湯呑を下げて、机に置いた。それからルゥをケージに入れようとする。  ふと気が付いた。 「あれ、……懐中時計?」  ルゥのケージの中には金色に輝く懐中時計があり、そっと手を入れて取り出す。ルードはラプラス国から来たと言っていたが、ラプラス国なんて聞いたことがない。  時計の針がチクタクと時を刻む。愛菜は寂しげな顔をした。 「また会えないかな。……あんなイケメンに会えたら、あんなイケメンとデート出来たら……、少しは学校を頑張れるかもなのにな」  ルゥが早くケージに入れてくれと肩によじ登り髪の毛を引っ張る。我に返って「痛いからやめてよ~」などと笑いながらルゥの鼻にキスをしてケージに入れた。  ピョンピョンと飛び跳ねたルゥの可愛らしい姿に愛菜は愛おしげな表情を見せる。 「ま、いっか! 早くごはん作って勉強しなきゃっ。ねぇ~ルゥ?」 「ピィ!」  そうだよと言っているような気がして愛菜は買い物に出かけた。買い物に出かける準備をする際に私服に着替え、ルゥに挨拶をする。 「じゃあ行ってくるね、ルゥ。ちゃんと待っているんだよ」 「マナちゃん!」 「あは。じゃあ行ってくるね~!」  ルゥがいつも通りに挨拶をして愛菜が出かけた。時はまた刻まれていくのだ。
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