《再来》

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《再来》

 普段よりも温かいなと感じた。そして狭さも感じた。  なんだろうかと思い、目覚ましも鳴っていないのに愛菜はゆっくりと目を覚ましていく。  次第に自分が誰かの胸に抱かれている、熱い胸板に抱かれていると感じ――その人物を押しのけた。 「だ、だれっ!??」  ドォンッ! などと音がしたかと思えば、その人物は頭をさすり顔を上げた。 「いたた……。押しのけることはないだろう」 「え、あ……、ルード王子?」  太陽の眩しさで輝く金色の髪をルードはさらりと撫で上げた。 「ルゥで良い。皆からはそう呼ばれているからな。俺も愛菜って呼んでもいいか?」 「呼んでも良いですけど……じゃなくって! どうしてベッドの中に入っていたんですか!」  ルゥはまだ美形で許されるからまだ良いとしよう。だが普通、会って間もない女の子相手の布団の中に入り、眠るという行為には愛菜であってもいささか抵抗があった。ルゥが変態オヤジであれば通報ものである。 「どうしてと言われてもな。……入りたかったに決まっている」 「……はい?」 「俺がこの世界に来た時には夜だった。お前は眠っていたし、暇だったし退屈だったしな。しかも俺が地べたで寝るなんて考えたくもない」  つまり地べたは冷たいから入りに来たのだと思うと、愛菜は肩を落とした。  インコのルゥは愛嬌も可愛さもあるが、王子のルゥという人物は身勝手で俺様主義なのが伺える。 「はぁ……、じゃあまた来る時には言ってくださいね。布団用意しておきますから」 「そうだな。ラプラスの波動は俺にはまだ十分コントロールができていない。いつでも用意しておけ」  なんという奴だと思いつつ、愛菜はルゥに「後ろ向くか廊下に出て下さい」強い口調で放った。傾げているルゥに愛菜は勢いよく「着替えるから出てって!!!」大きな口調で叩き出したのだ。 「愛菜~、どうした急に声出し――」  ――て?  廊下には友樹がエプロンを付けて立ちはだかっていたのだ。 「えっと、誰ですか?」  ルゥは訝しみ、愛菜は焦燥感を抱いた。
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