《着いたところは……?》

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《着いたところは……?》

 目を見開けばそこは海の上であった。どうやら船の上に居るらしい。  太陽がさんさんと輝き海がきらめいて見えた。 「きれい……」  ここがラプラス国なのかと愛菜がルゥへ尋ねようとすれば、ルゥも唖然としていた。そして「どこだここは……?」などと言うではないか。  さすがの愛菜も当惑する。 「え、わからないの?」 「あぁ、わからない。それにこの……奇麗なものはなんだ? 水のようなものだが……」  愛菜よりも疑問を抱き海というものを知らないでいるルゥの姿がおかしかった。噴き出して笑ってしまうとルゥが不平不満そうな顔をする。  愛菜は謝罪を入れた。 「ごめんって。ここはね、海っていう場所なの。どこなのかはわからないから、スマホで調べておこうか」 「スマホ……、海……。よくわからぬが頼む」 「はいはい」  スマホの位置情報で検索すれば自分たちは神奈川県の横浜に居ることが判明した。しかもここは氷川丸(ひかわまる)という船上らしい。  海を堪能しつつ下っていけばソフトクリームが販売されていたので購入してみることにした。  愛菜はカップでルゥはコーンにして二人で花々が咲き乱れるベンチで見ながら食す。空にカモメがふわりと飛来する。 「あぁ~おいし~! しかもカモメさんも来てる! すごいね」 「あれがカモメ……か。それに、そうだな。……うまい」 「おいしいよね! 私、初めて来たけど横浜ってこんな場所があるんだね」 「……ほかにもあるのか?」  ルゥが興味を持ったようで耳を傾けているので愛菜は自分の知っている限りの横浜のことを教える。  横浜の有名な場所は赤レンガ倉庫や中華街が有名だ。食べ歩きももちろんできるが食べ放題もあるらしい。また奥まった場所に行けば古びた洋館や山などが見渡せるそうだ。 「よく知っているな。誰かと行ったことがあるのか?」 「あ、ある……」  口を噤んで視線を下に向けてしまった。想起するのは黒髪が奇麗な可愛らしい顔立ちの少女。――この世で一番大切な存在であった友達の姿。 「どうした? 急に?」 「な、なんでもない! そうだ、中華街歩かない? 楽しいよ」 「……お前はまた食べるつもりか?」  図星を突かれ紅潮させる愛菜にルゥはそれでも笑う。 「まぁいい。食べ歩きもいいかもしれないな。……行こうか」 「うん! ありがとう! ……じゃあその前に!」  愛菜はスマホを傾けてソフトクリームを食しているルゥの写真を撮った。「また急にどうした?」怪訝な顔をするルゥに愛菜は口端を緩ませる。 「私は好きな写真を撮りたいの。……ルゥは絵になるからね」 「当然だ、王子だからな。もっと撮らせてやってもいいぞ」 「ほんと? じゃあもっと撮ろうかな」  ルゥをスマホに収める愛菜ではあったが急に手を引かれスマホを撮られてしまった。ルゥが見よう見まねで愛菜とのツーショットを撮影したのだ。 「俺だけより、お前も居た方が楽しいだろう。遠慮するな」  優雅に微笑み手を引くルゥのエスコートに愛菜の鼓動は高まった。
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