パンチを打ち込んで

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 スパーリングの立場が変わり、今度は平野先輩が、ストレートパンチを打ち込んでくる。 「ワン、ツ。ワン、ツ・・・」  パンチングミットに伝わる平野先輩の拳の強さと強い眼光。 「平野先輩の強さはこの程度なんですか?」  売り言葉に買い言葉  私が言われたのと同じ言葉をかけて平野先輩のパンチの強さに火をつけていく。 「フ・・」  スパーリングの最中でも余裕の笑顔を浮かべ、鼻で嗤った平野先輩の拳が前方で構えているパンチングミットとは別の方向から伸びてくる。 「なにやってる!!よけろ。北野さん」  右サイドから伸びてくる赤い拳をパンチングミットで受け止めると、周囲からは安堵のため息と歓声が聞こえてくる。 「反射神経は鈍ってないんだな」 「平野先輩・・・」  前に会っていましたかと聞く前に乱入してきた部員や先生に止められそれ以上聞くことができなかった。
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