パンチを打ち込んで

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 このほどよい疲労感が心地いい。私はパイプ椅子に座り、スポーツバックから、長めのタオルを取り出し汗を拭う。  リング上では新入部員の男子二人が顧問の先生からスパーリングのやり方を教わっている。 「脇腹はもう治ったか?」  横隣に座った平野先輩に言われた。ウルフヘアーが汗で濡れて乱れた髪をワシャワシャと拭いている平野先輩の方へ視線を向けながら言う。脇腹のことを知る人間は限られているから。 「平野先輩、やっぱり会っていたんですね」
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