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『ジュリアン、あそこに…』
「わっ!また出て来やがったな!
……あそこ?」
エレスが指差した先には、ぽっかりと大きな横穴が口を開いていた。
「あ!あそこが噂の採掘場か。」
『オパールはなかったそうだぞ。
あそこには寄っても無駄だろう。
そんなことよりも、とりあえず先に頂上まで登った方が良いのではないか?』
「いいや!
俺は、あそこで必ずオパールをみつけだしてやる!
そして、あいつらに見せつけてやるんだ!
そうでもしなきゃ、気がおさまらねぇ!」
ジュリアンは肩を怒らせ、いつもより大股で歩き出す。
「よ~し!ジュリアン!
おまえなら出来る!絶対にオパールをみつけられるぞ!」
採掘場の入口に立ったジュリアンは、自分自身に気合いを込めてそう叫ぶと、ゆっくりと中へと足を踏み入れた。
「なんだ、こりゃあ…」
まだ外の光が差しこむ地点で、ジュリアンの呆れた声が漏れた。
そこいらには掘り散らかした土砂にまみれ、車輪のはずれた猫車やつるはし、スコップ等の道具が無造作に散乱していたからだ。
「まったく、これだから素人は…
それにしても、酷過ぎるな。」
『だからやめておけ。
こんな有り様では奥まで行くのでさえ大変だぞ。』
「なんでこんなに掘ってそのまんまなんだよ。
全く…馬鹿じゃ…あれ?」
ジュリアンはそう言いながら身をかがめ土砂を探ると、その中から拳大の塊を拾い上げた。
表面の土を払い、上着にごしごしとこすりつけると、ジュリアンは満足げににっこり微笑み頷いた。
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