妖精からの贈り物

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* 『ジュリアン、あそこに…』 「わっ!また出て来やがったな! ……あそこ?」 エレスが指差した先には、ぽっかりと大きな横穴が口を開いていた。 「あ!あそこが噂の採掘場か。」 『オパールはなかったそうだぞ。 あそこには寄っても無駄だろう。 そんなことよりも、とりあえず先に頂上まで登った方が良いのではないか?』 「いいや! 俺は、あそこで必ずオパールをみつけだしてやる! そして、あいつらに見せつけてやるんだ! そうでもしなきゃ、気がおさまらねぇ!」 ジュリアンは肩を怒らせ、いつもより大股で歩き出す。 「よ~し!ジュリアン! おまえなら出来る!絶対にオパールをみつけられるぞ!」 採掘場の入口に立ったジュリアンは、自分自身に気合いを込めてそう叫ぶと、ゆっくりと中へと足を踏み入れた。 「なんだ、こりゃあ…」 まだ外の光が差しこむ地点で、ジュリアンの呆れた声が漏れた。 そこいらには掘り散らかした土砂にまみれ、車輪のはずれた猫車やつるはし、スコップ等の道具が無造作に散乱していたからだ。 「まったく、これだから素人は… それにしても、酷過ぎるな。」 『だからやめておけ。 こんな有り様では奥まで行くのでさえ大変だぞ。』 「なんでこんなに掘ってそのまんまなんだよ。 全く…馬鹿じゃ…あれ?」 ジュリアンはそう言いながら身をかがめ土砂を探ると、その中から拳大の塊を拾い上げた。 表面の土を払い、上着にごしごしとこすりつけると、ジュリアンは満足げににっこり微笑み頷いた。
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