妖精からの贈り物

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「やっぱりだ! 見ろよ、エレス! こんな大きなムーンストーン、めったにないぞ!」 『なんと… それを掘った者はきっとそれがムーンストーンだと気付かなかったのだな。』 「そうかもしれないな。 素人だとこの状態じゃよくわからねぇかもしれないな。 それに、ムーンストーンはオパールに比べたらそう高くは売れないからな。」 『人間の宝石の価値基準というものが私にはさっぱりわからん。 なぜ、オパールとムーンストーンでは価値が違うのだ? 何が違う?』 「それは俺にもわからんよ。 大きい小さいはあっても、石はどれも綺麗なのになぁ…」 そう言いながら、ジュリアンはうっとりとした表情でムーンストーンに頬ずりをする。 『……気持ち悪いことをするな。 磨いたものならまだしも、ただの岩と間違えられるそんな石がそれほど可愛いのか? ……そのままでは、おまえは一生結婚出来ないぞ。』 「うるせぇ! 俺が何をしようが俺の勝手だ! ……ははぁ~ん…わかったぞ! おまえ、このムーンストーンに嫉妬してるんだな。」 ジュリアンは意味ありげに上目使いでエレスをみつめる。 『……馬鹿馬鹿しい。』 ジュリアンの視線を外し、エレスは吐き捨てるようにそう言った。 「照れるな、照れるな。 よしよし。 おまえのエレスチャルにも頬ずりしてやろうな。」 ジュリアンの手が首から下げた皮袋に伸びた。 『こ、こらッ!馬鹿者!止めろ!気色の悪い!』 エレスはかき消すようにその姿を消し去った。 「本当におまえは照れ屋だなぁ…」 (フフフ……あいつにも弱点をみつけたぜ。 今度からは、これに限るな!) 「さてと、こんな大きなムーンストーンもみつけたことだし…後は帰りにもう一度寄るとして、とりあえず頂上を目指すとするか!」 ジュリアンは採掘場を出ると、再び険しい山道を歩き始めた。
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