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どうも夫には女が出来たなと、マキは何となく勘づいていた。
すでに夫婦生活も長くなり、お互いに飽きがきている。
そんなこともあるだろうと、気づかないふりをしてあげた。
相手の女性が身籠ったと告げられたのは、青天の霹靂だった。
まさか47歳になる夫に、まだ子種が残っているとは思っていなかった。
マキには子どもがいない。
夫は子どもが大好きだ。
常に申し訳ないという気持ちを、どこかに抱えながら暮らしてきた。
「生まれてくる赤ん坊のために別れて欲しい」
と頭を下げる夫を見て、(バカバカしい)という気持ちになった。
不倫でありながら、なぜ避妊をしなかった?
自分の非には触れず、なぜ赤ん坊のためなんてズルい言い方をする?
マキは夫と話しをする気になれなかった。
あまりにもふざけている。
弁護士をしている中学時代の同級生に丸投げをして、離婚した。
子どもが生まれる前に離婚と入籍を済ませたい夫は、条件よりもスピードを重視した。
友人である弁護士は抜け目なく、相場よりもウンと高い慰謝料をマキのために勝ち取った。
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