第三章 朝は明けない

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「どうしました?」 「どうしたもこうしたもねえよバカ!!」 頭をパシッと叩かれた。 「痛いな〜・・・」 「お前はアホか?!東雲って‥、」 「いや、分家ですって。」 「やっぱアホか?」 「だから分家なんで問題はないかと…」 「あるわバカ!」 「…」 「・・・・」 「…あなたも名乗ってくださいよ。」 「土方歳三。」 「ふーん。」 「なんだてめぇ。」 どうやら男は土方というらしい。 誰だ。 聞いたこともない名前だけど。 「失礼します。斎藤です。」 違う男の声がした。 「おう、入れ。」 「副長…、遂に身を固めになるのですか…。」 斎藤、と名乗った男は感慨深げに頷いている。 なかなかの美男子だけど、表情筋が死んでいるのかちょっと怖い。 「いやちげぇよ!なんでどいつもこいつもコレを俺の嫁扱いにするんだよ!」 土方は怒鳴っている。 「では、どちら様で?」 「今日の朝餉のときに話す予定だったが…、先に幹部には本当のことを伝えといたほうがいいかもな。斎藤、幹部を全員呼んで来い。」 「承知。」 斎藤は素早く部屋を出ていった。 また土方と私だけになったところで、土方は眉間にシワを寄せてなにか考えている。 気まずい…。 そんな雰囲気を壊すかのようにバタバタとうるさい足音が聞こえた。
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