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酸素チューブ
政府はある法案を国会に提出した。それは年金受給者にとって、とても飲めない法案だった。
もちろん野党は猛反対だった。でも数の論理には勝てず例によって法案は難なく通過してしまった。
わたしは今年76歳になる、50年前の予測寿命ならこの世には存在しえ無い後期高齢者である。
もちろんリタイヤして久しい年金生活者でもある。
しかし国民年金だけの受給者なら誰も同列だと思うが、社会保険料などが差し引かれると僅かな年金が更に厳しいものとなってしまう。
『贅沢』なんて言葉すら忘れ始めているのに来る月も過ぎた月も恒久的に赤字であり預金を切り崩してのやりくり人生である。
最近だが『安楽死』をキーワードにしてPCの検索サイトで模索するも、どのページもブロックされた。死ぬことすらままならない。
『今日は泳げるコースが空いてるだろうか?』 いつものことだがこのジムに足を向けた瞬間から余計な心配が不安となってストレスだけが蓄積されようとしている。
昨年の夏に『気胸』を患い絶対安静で入院するも、コロナウイルスの院内感染が拡散し始めたことで、半ば強制的に自宅療養を条件に退院をよぎなくされた。
退院とは聞こえはいいが入院していた時と同じように自宅でも酸素チュウーブを手放すことはなかった。
その後、一月毎の定期健診を繰り返し、9か月後の診察の結果、ようやくステロイドの服用と酸素チュウーブから解放された。
だが血中酸素を安定させるためにと医師から有酸素運動を勧められスポーツジムのプールに通うこととなった。これもまた貯金を切り崩しての入会である。
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