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(何なの、コイツ、頭おかしいんじゃないの? 自分の世界に入り込んでる)  恐怖で動く事すら出来ず、私が抵抗しないのを良い事に新田の指は首筋から鎖骨を伝ってブラウスのボタンに手を掛けると、一つ、また一つとボタンを外していく。 「いやだ、本当に、止めてよ……」 「何だよ? そんな初めてみたいな顔して。それともあれか? 琴里は無理矢理されるのが好きとか?」 「違っ……止めて……お願いだから……っ」  身体は震え、薄ら涙が浮かび視界が歪んでいく中、突然教室のドアが勢いよく開く音がした。 「……り、つ……?」  視界が歪む中でドアに目を向けると、教室に入って来たのが律だと確認出来た。  そして無言で私たちに近付いて来ると、 「またお前かよ」  そう気怠そうに呟きながら新田の襟首を掴んだ律は、そのまま勢いよく投げ飛ばしてしまう。 「うわっ!?」  投げ飛ばされた新田は机や椅子に身体を打ち付け、顔が苦痛で歪んでいた。 「琴里、大丈夫か? これ、羽織っとけ」 「う、うん……ありがと」  座り込んだままの私の腕を取り立ち上がらせてくれた律は、自分が着ていたカーディガンを私の肩に掛けてくれると、私を背に庇いながら倒れている新田の方に向き直る。 「おいお前。次コイツに何かしたら、こんなんじゃ済まさねぇからな。よく覚えとけよ」  冷ややかな目つきでそう言い放った後、律に手を引かれ私は新田を振り返る事もせずに、そのまま教室を後にした。
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