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 並んで歩くもののお互い口を開く事もなく、無言のまま足を進めて行く。  律は煙と一緒に溜め息を吐くと、 「何なんだ、さっきのヤツ」  顔はこっちに向けずに新田の事を聞いてきた。 「……クラスメート……」 「へぇー」  新田との関係を一言で答えると、興味無さそうな返事が返ってくる。 (自分から聞いといてその返事って、どうなの?)  さっきは新田から助けてくれて嬉しかったのに、律の態度が面白くなくて恨めしげに彼を横目で盗み見てみるも、 「寄ってくんだろ?」  そんな私の気持ちを知ってか知らずか、律は自分の住むアパートを指差して聞いてくる。 「……うん」 (必ず寄るって、分かってるくせに……) 「んじゃ、ついでにスーパー行って買い出しするか。琴里、腹減ったから何か美味いもん作ってくれよ」 (いつも勝手なんだから……) 「ほら、ちんたら歩いてねぇで、行くぞ」  私の機嫌が良くない事に気付いていた律は突然手を差し出してくる。 (やっぱり、律は狡い……)  私は単純だから、手を繋ぐとかキスするとかギュッてしてもらえればすぐに機嫌が直っちゃうの。 (もう! だけど、そんな律が、私は好き) 「繋がねぇならしまうぞ」 「駄目!」  ひらひらと手のひらを踊らせてポケットにしまおうとする律の手を取った私は、彼の指に自分の指を絡めてギュッと強く握り締めた。
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