夢の舞台へ

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 ピピーッと試合終了の笛が鳴る。  湊がスリーポイントシュートを一本決めて、最終的には二十点差で勝った。  喉がカラカラだ。手汗も酷い。  ふとコートサイド席に視線を移すと、親父らしき人物が両手を挙げて喜んでいるのが見えた。  恥ずかしいからやめてくれ。  それに、毎回良い席で観すぎだろ。湊の背番号が書いてあるユニフォームも着てるし、よくそんな金あるな。小遣い制で大変だって、前に嘆いていたのに。 「続いて八十番、山本湊選手お願いします。プロ初出場での初得点おめでとうございます」 「ありがとうございます」  コート内で行われる試合後のインタビュー。  活躍した選手が選ばれることが多いが、初出場ということもあって湊にもマイクを向けていた。 「今日の勝利を伝えたい方はいますか?」 「はい。ずっと支えてくれた両親と、僕をここまで育ててくれた方々、バスケを始めるきっかけをくれた親友親子に伝えたいです。そして、皆さん本当にありがとうございました。今後も応援していただけたら嬉しいです」  そんなことを言うとは思っていなかったからドキッとした。  親友って俺のことだよな? 親父は嬉し泣きしているかも。
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