5人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピーッと試合終了の笛が鳴る。
湊がスリーポイントシュートを一本決めて、最終的には二十点差で勝った。
喉がカラカラだ。手汗も酷い。
ふとコートサイド席に視線を移すと、親父らしき人物が両手を挙げて喜んでいるのが見えた。
恥ずかしいからやめてくれ。
それに、毎回良い席で観すぎだろ。湊の背番号が書いてあるユニフォームも着てるし、よくそんな金あるな。小遣い制で大変だって、前に嘆いていたのに。
「続いて八十番、山本湊選手お願いします。プロ初出場での初得点おめでとうございます」
「ありがとうございます」
コート内で行われる試合後のインタビュー。
活躍した選手が選ばれることが多いが、初出場ということもあって湊にもマイクを向けていた。
「今日の勝利を伝えたい方はいますか?」
「はい。ずっと支えてくれた両親と、僕をここまで育ててくれた方々、バスケを始めるきっかけをくれた親友親子に伝えたいです。そして、皆さん本当にありがとうございました。今後も応援していただけたら嬉しいです」
そんなことを言うとは思っていなかったからドキッとした。
親友って俺のことだよな? 親父は嬉し泣きしているかも。
最初のコメントを投稿しよう!