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きっかけ
しつこかった。
「双葉くん、きのこ面白いよ。一度一緒に行かないか?」
彼はアル中で手の震えが出て、旅館の板長を降格、日帰り客に軽食を出す僕の部署に配属されて来た。
季節は秋、山にはきのこが出るそうだ。
僕もこの山里に越して来て、松茸でもないかな?と松林をフラフラ歩いてみた事はあったし、せっかく周りを取り囲む山を歩くきっかけを貰える事には吝かではない気持ちだった。
けれど、きのこ、ねえ。
まったく興味がなかったのだ。
しかし、しつこい誘いに折れる形で、僕は初めてのきのこ採りを体験する為、早朝バスに乗り隣村の彼の家に向かった。
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